1日

zushonos2007-09-09


土曜日の午後は、鈴鹿から東京方面に遊びに来ていた中学校以来の友人を四輪で甲府まで送りつつ昔話をして過ごした。
午後早い時刻に自宅近所の駅まで迎えに行き、中央道のICを目指す。考えてみれば、彼は(数少ない友人の中で)最も趣味の守備範囲が重なっている友人かもしれない。渋滞が大変だが、年に1,2度くらいしか会わないことも手伝って、下らない話題は尽きないので、それほど退屈しない。
現行連載漫画の話をするのだが、主題はもっぱら20年前の漫画の焼き直しものである。たとえば以下のような内容だ。
『昨今のカナディアンマンの小物ぶりがたまらん。ゆでたまごは表現力が豊かになったと思う。ただ、あの一連のできごとは、カナディアンマンの小物ぶりを強調することは大成功したが、おそらく本来の目的であった、カオスの秘密にスポットを当てるためにはまったく効果がなかった』
『ウィードは2代目ものにしては珍しく、前作がなかったとしても一定の完成度を誇るのではないか。しかしやはり銀が出てきてしまうと一番かっこいい。ヴィクトールは抜刀牙にビビりすぎ。赤目も抜刀牙使えばいいのに』
『若島津をFWにコンバートしてまで森崎を出したかったのか。「攻撃力は上がったが守備力が落ちた」とか、そんなエピソードが欲しい』
平松伸二は画力が落ちたと思い込んで過去作品を見てみたら大差なかった。でも昔の方が絵は好きだ。登場人物も、昔は狂人が多かったが、最近のやつは変態の方が多くて立ち読みしづらい』
といったところ。
キン肉マンII世において「あなたの考えた超人募集」といった企画があったが、先代の連載時にあった同様の企画では、結果発表の大半は「○○くん(1*さい)の考えた超人」であったのに対し、II世では、大半が「○○さん(3*歳)の考えた超人」だったのが印象に残っている。週刊中年少年ジャンプとして焼き直し漫画を一冊にまとめればかつての読者は買うと思うが、かつての読者以上に読者数が増えることはまずないだろう。
漫画以外の話題も、ゲームブックビックリマンシャーロック・ホームズなど、新しいとはいえない内容ばかりだ。旧い友人なので仕方がないが、新しい友人との間に新しい話題があるかどうか、というよりも、新しい友人はどれだけいるのだろう。

大月ICで降りて笹子峠の旧道を走ろうとしたのだが、旧道に入ってすぐ台風の影響で通行止めのゲート。私を含めたおろかなライダーであれば、バイクのときは「通行止めはそっちの都合じゃろ」という思考回路が働いてしまい、ゲートの隙間を探してあれした経験があるのではなかろうか。しかし、今回は通行止めゲートの前後は枝葉で覆われ、前方100m足らずのところで立派な並木が数本横倒しになって、完全に道を塞いでいるのがはっきり見えており、四輪でなくともすぐに引き返す気になったに違いない。
笹子峠旧道はこれまで3,4度通過を試みたが、冬季閉鎖や通行止めで、一度も通過できたことがない。また行こう。
新道に戻って甲府盆地に突入。友人は甲府駅前に宿を取ったのだが、まだ時間がある。事前に目をつけていた温泉銭湯を目指す。
銭湯の方を目指して進むが、腹が減ったのでまず腹ごしらえをしようということになり、適当な店を探す。先日からスパゲティを食いたいと思っていたところ、沿道に「ゆであげパスタがなんとか」という看板を掲げた店があったので入ってみた。後に判明したのだが、北関東に多くの拠点を持つらしい「貴族の森」というチェーン店の一軒であった。
手書き風の妙な標語看板(「いつも一生懸命・・・」「あと一息」「手をつないで」等々)や、不思議な内装、メニューなど、気になるところはたくさんあったが、食い物の量と味、値段のコストパフォーマンスはなかなか優れていると感じた。ただ、最も印象に残ったのは「貴族のトイレは和式がいい。」という、文字通り「便所の落書き」である。きれいに保たれた店内で、この落書きが消さずに残されているのはどういう理由があるのだろう。あまつさえ、この落書きがあったトイレは和式であった。

食い終わって、目的の温泉銭湯「玉川温泉」へ向かう。甲府近辺に来て温泉に入るときは、これまでおおむねほったらかし温泉を利用していたが、最近、利用者が多くて落ち着かないのと、塩素臭くなったような気がして、しかしロケイションは抜群でというディレンマを感じていた。いっそのこと温泉を止めて温水プールにすれば、多少有難味が減って客は減り、しかし私はあのロケイションで風呂に入れるだけで満足なので、利用しやすくなるのではないかと勝手なことを考えている。ほったらかし温泉は、その手前のフルーツ公園との組み合わせで、観光地として優れており、もてなすにはもってこいであるが、今回の友人とは、幸いにしてもてなす必要のない間柄である。
違う温泉を探してみた結果、甲府盆地の銭湯は、天然温泉源泉掛け流し加温加水なしという贅沢なものが多いことを知り、しかし銭湯は銭湯であるからきっと湯船自体の素晴らしさは比べるべくもないのだろうなあと覚悟しつつ、友人を付き合わせることにしたのだ。
事前にハンディGPSに登録していた場所を頼りに田んぼの中の道を進むと、想像していたよりは立派な建物にたどり着いた。加温していないのでもちろん煙突もボイラー設備もない。
男風呂は無人で、貸切状態だった。事前に調べていた通り、湯量が豊富で、常時洗い場に湯があふれているのだが、あふれて洗い場を流れる湯は、小指が水没するくらいの水深を保っている。これで500円はすばらしいね。内湯のみで、快適に同時に入れるのはせいぜい10人くらいだろうか。広くもない窓から見える風景は隣のアパートか田んぼのみで、このあたりはほったらかし温泉に比べるべくもないが、こんど甲府方面で温泉に入るときも、この玉川温泉のほか、盆地の温泉銭湯を狙ってみようと思った。
風呂から上がって休憩室で飲み物を飲んでいると、利用者が持ち寄ったのではないかと推測される小さな本棚が目に付いた。

対象年齢が相当高めに設定されていると思われる雑誌や、古めの単行本の中で、特に興味深かったのが写真の2冊(真ん中と左は箱入りの本とその箱)。
右側の本については、下の写真のような記事が祝福調で掲載されていて、後世に生きる我々の目には、なかなか皮肉の効いた内容に写った。

友人を駅前に送り届けて帰路に着く。帰宅してメイルを眺めていると、数年会っていない人がかつての集会所に顔を出すというので、私も出かけた。その当人以外に、比較的よく会う人が何名か集まり、深夜まで、結局いつもと変わらない話題を楽しんで解散した。

翌昼は嫁のバイクのタイヤ交換のため、かつて住んでいた中板橋に行き、キッチン亀で昼飯を食った。

商店街では祭りが行われていて、神輿が行きかう。そのせいかどうかわからんが、商店街でいつも流れていた、特徴ある抑揚のおばちゃんの声による放送が聞かれなかったのが残念。
氷川町図書館で

詳注版 シャーロック・ホームズ全集〈10〉 (ちくま文庫)

詳注版 シャーロック・ホームズ全集〈10〉 (ちくま文庫)

のシリーズを手にとって少し読んでしまう。もう板橋区の図書館利用者カードは持っていないので、借りなかったが、この値段なら買い揃えられるなあ。ベアリング・グールド版は持っていないが、その他のいろいろなら故郷にたくさんあるのに、昨日の友人との話があったせいで、欲しくなってしまった。困ったものだ。