臓器

生えてきた


「臓器の数がおかしい家族」というのが、嫁実家の人たちの持ちねたの一つだ。

嫁父→胃癌で胃を全摘出したため胃が無い。「ストレスがあっても胃が痛むことはなくなった」とは本人の弁。胃の摘出手術時には病院に親戚が大集合し、手術中は待合室で久しぶりの再会を喜び合い、他のグループの鎮痛な雰囲気と一線を画す。手術終了後は皆で築地に寿司を食いに行った。手術の2,3日前に「二度と食えなくなるかもしれない」と、うなぎ、麺類、肉、酒など、消化に悪かったりしそうなものをまとめて食べた嫁父は、いまでは何の問題もなくそれらの食材を平らげる。

嫁母→嫁妹に腎臓を提供したため腎臓が一つ。今後、仙台に顔剃り屋「シタカトー(仮)」を出店計画中。スターや若い男に興味はないが柿ピーに夢中。

嫁妹→腎臓が悪く、嫁母から移植を受けたため腎臓が三つ(元々の腎臓二つは取り出したりせずそのままにしておくらしい)。家でパンつくったことがある。

嫁兄→臓器の数の増減はいまのところないが、本人いわく「脂肪肝になりかけ」だそうだ。

嫁→いまのところ臓器数も臓器の調子も過不足ないが、嫁妹によく「様子がおかしい」と言われる。

こう書いていて、私は嫁一家のファンなのだなあと改めて思った。

水面下の中庭は、夏至の前後一ヶ月程度のみ、直射日光が当たる角度まで太陽が昇る。しかし、梅雨の最中にかかるため、直射日照時間(なんてことばあるのかしらん)はおそらく年間24時間未満だ。

そんな中庭は、ウッドデッキ風になっている。ところどころが50cm四方に切り取られ、砂利が敷き詰められている。もともとは植樹してあったのだが、最初の1年ほどで枯れてしまった後はただの砂利敷き空間である。上空を渡ったり稀に落ちてきたりする鳥のせいか、ときどき草が生えている。ウッドデッキに苔が生えることもあったが、たまに「消毒」と称してなにかを撒いているおかげで、最近は苔も生えてこなくなったようだ。それでも黒くて平べったくてすばやい昆虫はそれなりの頻度で見かける。

先日、砂利敷きの空間に、また植物が生えてきた。いつもと違う感じがしたのでよく見てみると、髪ではなく、草でもなく、木であった。引き抜かれたり枯れたりせず、大きくなってくれると、ちかごろ富に「死ね」といった趣旨の発言つうか独り言が多い私の精神の救いになりそうな気がする。この木の種類はよくわからないが、おそらく雑木。

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