原体験-2

バイクのクラブの知人に原さんという人がいるが、今回の話とは無関係。

何らかの事故が発生した結果、本来設定された料金を支払わずとも、飲食できた経験をお持ちだろうか。

ボクは何度かそういう場面に出くわしたことがあるんだ。

最近では、こんなことがあった。
6,7人でラーメン屋に行ったとき、お嫁ともう一人がひき肉入りラーメンを注文したのに、まったく肉なしのラーメンが出てきた。食い終わってそれを主張したら、なんと一行全員に無料で杏仁豆腐が振舞われたんだよ。ビックリだよね。

過去には、こんなことがあった。
家族で中華料理屋に出かけた。市内では随一とされるホテルの中華料理で、家族で外食となると、ここかペイザンか、ちょっと時代がさかのぼるとおくうべか、と、3本の指(ベムみたいだネ)に入る店だったのサ。ちなみにここの中華粥を食って「こッ、これはッ」とでも言いたくなるような、美味しんぼのような、ミスター味っ子のような、あるいは聖闘士星矢のような、そんな感想を持ったことがあるヨ。つまりとてもうまかったのサ。おっと、脱線してしまったネ。
で、誰かの皿に髪の毛が入っていた。ボクたちは、店員に対して、怒ったりせず、単にそのことを指摘した。前述のように、3本の指(ベラみたいだネ)に入ると思っていたから、残念に思ったのは確かで、そんな雰囲気は伝わったかもしれない。そうしたら、家族全員に杏仁豆腐が振舞われたんだよ。ビックリだよね。

そしてボクの原体験。
小学校4年生になる前の春休み。当時仲が良かったやましたしんごちゃんのおばあちゃんの家(久留米にあったよ)に連れて行ってもらった。2泊か3泊したよ。道中、ハイスクール!奇面組のパーティージョイを買ったことをおぼえている。
最終日に、おばあちゃんに連れられて昼飯を食いに行った。久留米は当時からラーメンを売り物にしていたけれど、何らかの理由で、どこかの駅の2階にあるうどん屋だった。記憶では、しんごちゃんの母ちゃんに「ラーメンは高いから」と言われたような気がする。でも、今考えると、値段は店次第だろうし、そもそもそんなにけちけちするなら最初からボクを連れて行ってくれなかっただろうし、よくわからない。
とにかく、ボクは肉うどんをたのんだ。ほかのみんなもそれぞれにうどんをたのんで、食べ始めた。ボクは中学生くらいまでは大食い・早食いを自負していて、このときもたしかほかの人より早く食べていたと思う。どんぶり中ほどまでの麺は食べ終わり、底の方に残った、汁の色が濃くてよく見えない麺を掬い取ろうとした。
黒くて平べったいアイツが浮き上がってきた。体長は5cmくらいあったんじゃないかな。幸いにして、既に死んでいたよ。生きて足でも動いていたら、ボクは倒れていたかもしれない。でも、知識として、食い物屋にアイツはつきものだと知っていたし、当時乱暴者だったボクは、強がってみせなければならなかった。つとめて平静にふるまったよ。周囲からはどう見えていたかはわからないけどね。
店の申し出で、新たに肉うどんを一杯出してもらい、ボクのぶんは最初の注文から無料になった。もともとしんごちゃんのおばあちゃんのおごりだったから、おばあちゃんは得をした。ボクも予定より一杯分多く食べられて得をした。でも、知識として、アイツが入ったものを食べると体に良くないと知っていたので、しばらく心配だったよ。あんなに心配したのは、今のところ、このときと、10年ほど後に野良犬に噛まれて狂犬病を心配したときの2度だけだよ。
おばあちゃんは、ボクの分は出費がなくて済んだんだけど、当然ながら、とても心配してくれた。うどん屋も罪なことをするね。しかし、今思えば、おそらく同じ鍋から出てきたスープだから、あの店にいた人たちは全員が無料で振舞われるべきだよね。

写真は本文と無関係です。まあちゃん社長席。