食うに困って

zushonos2008-12-01

自販機の下を探る人は、概ね食うに困っているのではないだろうか。
幸か不幸か、現在の勤務先にあって、また周辺の助けもあって、いまのところ食うに困ったことはない。が、勤務先において、自身初の、自販機の下を探る体験をした。
発端はこうである。夕刻、最後に一仕事する前に何か腹に入れておこうと、勤務先の建物内にある、極めて気の利かない自販機コーナーに出向いた。食品自販機は毎度のことながらあまりにも冴えない品揃えだったので、飲み物でごまかすことにして、飲み物自販機に向き直った。この自販機は、世間で120円の値を付けている商品が110円と、すこしだけお得である。まずは100円玉を、と取り出したところ、そいつが手から転がり落ちた。落下した先は、自販機につま先を向けた足の甲であった。地面と垂直に、そして足の向きと平行に落下した100円玉は、美しくさえある軌跡を描いて足の上を転がり、自販機の下へと消えていった。財布の中にある最後の100円玉であった。
というわけで、自販機の下を覗き込む。幸いにして周囲に人影はない。暗くてよく見えないが、どうやら100円玉らしき物体が奥のほうにある。手を突っ込むが、届かない。隙間が狭く、手首くらいまでしか入らないのだ。床の埃が袖口を攻める。
武器が必要だ。振り返ると、食品自販機に備え付けの割り箸があった。包装が破れて、食事用には使いにくそうなやつを手に取り、再度隙間チャレンジ。が、もう少しというところで失敗。
却って奥に押しやってしまう。
状況を確認するべく、携帯電話のライトで照らすと、(恐らく)自分の100円玉のほかに、10円玉が2つ見つかった。これはなんとしても回収せねば。しかし武器が不足している。
そうだ、傘だ。自席のある階に戻り、ビニール傘を調達。若干太すぎるきらいがあったが、どうにか隙間に突っ込む。上から押さえつけて手前に引っ張り出そうとしたが、上下動がほとんどできないので、横に移動させて壁際に移動させた後、壁と自販機の隙間に上から傘を突っ込んで手前に取り出した。100円玉、10円玉、10円玉。も、もちろん自分のは100円玉だけよ。
こんどから自販機の下注意して見てみようかな。