局地的

zushonos2007-08-04


水面下で対面の席に座っている、私とほぼ同年齢のJTは、概ね良い男だ。
その持ちネタが幾分セミアップトゥデイトな傾向にあり、租借するのに余分な時間を要するが、租借できたときの喉越しはそれなりに快感であることがしばしばあった。近頃それが見られないような気がするのは彼が結婚して身近な人の話題に影響されているのかもしれない。
セミアップトゥデイト感が減ってきたのは残念な気もするが、私がJTに憧れる要因はほかにもあって、その一つがフォークリフトの免許保持者であるという事実だ。
いろいろな夢や希望が痩せ細っていく中、むしろ肥大しつつある私の夢は、フォークリフトで通勤しながら糞路上駐車車両をどんどんどかして積み上げることである。その結果かえって邪魔になるというのは夢なので気にしない。そんな夢はあるがフォークリフト免許を持たない私にとって、免許保持者は憧憬の対象なのである。これhttp://www.soceadth.co.jp/CFLcatalog.pdfなら無免許でも多分運転できるが、荷揚能力が少々寂しい。
もう一つの要因は、岩や壁に登る技術に長けていることである。登る場面や使用する道具によってクライミングといったりボルダリングといったりするそうだ。
最初にその活動について耳にしたときは、酔狂なことをするものだという感想を持ったのみで、全く興味が持てなかったが、クライミングを主題にした漫画を読んだりしているうちに少々興味が出てきた。そして先日、廻り目平にて、JTが道具を用意してくれて、ボルダリング体験をすることになり、これが予想外に面白かったのだ。初心者にはどうやって登るのか見当もつかない岩に取り付いて、淡々と、でもなく何度か試行錯誤をしながらしかし最後はきっちり登りきったJTはなかなか格好良かった。
その後、自宅の近所にクライミングジムがあることを教えてもらった私は、早速ジム通いを始めたのである。そろそろちんたら走るのに飽きてきたので、クライミング柔術、ちんたら走ることを交互にやっていくつもりなのだが、金が心配になってきた。
さて、いまではフットボールクラブの名称以外では、おそらく世間的には死語と認識されているであろうことばがある。ボルダリングの現場で、おそらく10年以上の空白期間を経て、JT以外がそれを発言するのを聞いた。以前からJTのそれは何度か聞いたことがあったのだが、これは冒頭に述べたセミアップトゥデイトに起因するものだと思っていた。しかし、JTが釈明していた通り、どうやらクライミング界では極めて一般的な用語であるらしいそれは、激励を意味する「ガンバ」である。「ガンバ、ガンバ」と連呼されることもしばしば。入門者たる私には少々抵抗がある。
もっとも、専門用語といえば、我が勤務先である水面下もひどい有様だ。
マスク、ボカシ、ハード、エスエムデー、レイヤー、コウソク、セイキュウ、トウタツ、セイショク、バラマキ。これらの用語を老若男女の別なく連呼しているのである。いまでは水面下でその名を見かける機会は少なくなったが、エロマンガと記された書物も社内には多数あるはずだ。