あなたに会えてよかった

zushonos2007-03-07


日曜日は嫁父の還暦祝いの会があった。出席者は嫁父、嫁母、嫁兄、嫁兄嫁、嫁妹、嫁、私である。以下、面倒なので、頭の「嫁」を省いて書く。
私は一家の大ファンであり、一家で集合する機会があるときは、たとえ抜きでも参上することは以前に述べたhttp://d.hatena.ne.jp/zushonos/20051201とおり。また、この面子の面白さも以前述べたhttp://d.hatena.ne.jp/zushonos/20060610とおりであるが、今回それを再認識した。いみじくもけんちゃんが言っていたように、この一家の茶の間での有様は、有料動画コンテンツとして配信すれば利益が出るに違いないと確信した一席であった。
この一席に向けての具体的な動きを私が認識したのは一週間ほど前にさかのぼる。妹からに電話があって、父の還暦祝いの会について、日程がおよそ決まったので予定を空けておくようにという連絡があった。その時点では、お祝いの会場として、値は張っても良いものを食べられる店に行くことは確定済みで、父のルーツである、山形に関係する料理を出す店を探しいるということだったが、その後決まった会場は、伊勢料理の店であった。これは兄嫁による選択だったのだが、例によって全員が主役となったこの一家の会合にあって、今回は、この店を選んだ兄嫁がMVPであると誰もが認める結果となった理由は後述する。
18時に会場前で一家が集合。主賓の父は、店の前で、自らのコンパクトカメラで家族の写真撮りまくる。麻布の外れではあるが、洒落た店の前でのこの振舞いは周囲に溶け込んでいるとはなかなか言いがたく、一行は早期の入店を促す。
開店も18時だったようで、我々が最初の客であった。店内はよく観察していなかったので適当な印象だが、黒を基調にした壁・床に、無垢の木材を多用したコの字型のカウンターと椅子が並んでいたような気がする。照明は白熱灯。ともかくそのカウンターの横を通って、狭い通路を進み、ガラスの一枚扉の向こう、カウンターのちょうど裏に位置する個室に通された。長いテーブルを挟んで座る。出てきた料理はそれぞれとても美味かった。松阪牛は初めてそれと認識して食ったと思う。
料理はそんなところでよいとして、本題の会話である。相変わらず各自が勝手に話題を持ち出し、隣の人が違う話題をしていても気にせずその向こうの人と会話。着席次に、互いに譲り合ったり希望を申し出たりしていたが、ほとんど無意味だ。
主賓の父は酒が進んで酔っ払ってしまうことがわかりきっていたので、コース料理の3品目あたりで早めに還暦祝いの赤いヴェストと、かっこいいハンティングキャップを贈呈。似合って様になっているのだが、どこかスーパーのちらし風味に見える父の撮影会。
一応、父の歴史を振り返るような話題が出るが、そうでもない話題も満載。たとえば兄には「実業ではなく道を極める方面に進んだほうが成功するはず」という自己分析を披露し、誰もそれを否定しない。言ってしまえばいつもと変わらず、大変な賑わいである。料理を運んでくる店員の兄ちゃんも笑いをこらえ切れない。
このあたりで兄嫁が店を選んだ狙いが明らかにされる。いわく「個室を最優先した」。なるほど、ちょっと値の張る店にしては賑やかにしすぎという面と、少々お恥ずかしいという面から、この一席は個室でなければ成立しえなかっただろう。以後、キラーコンテンツが披露されるたびに、「個室でよかったねえ」と兄嫁をMVPに推す声が上がるという有様が繰り返された。
デザートのプリンには、店のはからいで、火のついたろうそくが計6本ささって出てきた。店員の兄ちゃんも加わってハッピーバースデーと歌う。その前後ではすっかり酔っ払って、赤ヴェストを汚さないようにとおしぼりの前掛けをかけられ、気持ちよさそうに眠っていた父も、このときは目を覚ました。
素敵な還暦祝いだった。私の父の還暦祝いは今のところ全く計画されている様子が見られないと明かしたところ、皆で出向くので計画するべしと言い渡された。
兄夫妻を家まで送っていった際、お礼にと、私の鳥好きをくんで、鶴の絵柄があしらわれたおもしろシャツを頂戴した。
この一席に参加できたのは、と結婚しているからに他ならない。に会えて本当に良かった。