前を向け

zushonos2005-01-20

先日の長編小話にいただいたコメントは心あたたまるものばかりで、前を向いて歩いていきたいと思えた(誇張あり)。

前田日明がインタビュー等で「俺を見るな、自分を見ろ」と言っているのを読んで感心していた私は、いつからか前向きな考えができていないようだ(前田のせりふが前向き云々に関係あるかどうかは不明)。後ろ向きも嫌なので、横向きを目指している。

基本的には前にしか進まないバイクに乗っていながら、この有様だ。一週間ほど前、会社からの帰り際に、飴をもらった。バイクに乗っていると、飲み込んでしまったりしないのかと尋ねられた。幸いにしてそのような経験はないと思う。

飴を飲み込んだ記憶としては、20年ほど前にパイン飴(厚さ数mmの5円玉的形状)を喉に詰まらせたそれが強烈だ。実際のところはどうだったのか知らないが、喉の壁と垂直に飴が詰まり、喉径=飴の内径になったつもりで苦しんだ。圧迫感で喉は痛み、呼吸するのも辛い。親の監督のもと「ごはんを飲み込んで押し流す」「熱い茶を飲み込んで飴を溶かす」といった作戦が遂行されたが、事態は好転しなかった。今になってこうして書いてみると、これらの対策は悪化する要素しかないように思える。どうやって解決したのかおぼえていないが、病院には行かなかったと思う。今では喉径が大きくなっているので同じ事態になることはないだろうが、パイン飴を見ると無意識のうちに身構える自分がいる。

同じく基本的に前にしか進まない自転車に乗っていて、飴ではないが、歓迎すべからざるものを体内に取り込んでしまった男の話がある。

その男−通称はペイル→電車くん→電車さんと変遷し今に至る−は、学校から帰宅する際、自宅に向かう長い上り坂を、必死に自転車を漕いでいた。夏の夕暮れ時だろうか。噴出する汗はしかし日が陰るにつれて少しずつ収まっていく。本人曰く「東京コーヒー」(一般には登校拒否)だった経験もある電車さんにとって、趣味の鉄道模型や宇宙開発/モータースポーツ関連死亡記事スクラップが待つ自宅に近づくにつれ、気分は上向きになっていっていたのではないか。そんな折、電車さんの鼻の穴に、カメムシが飛び込んできた。カメムシはきっちり悪臭を発し、電車さんは悶絶したという。

その電車さんが教えてくれた話。

当時電車さんと友好関係にあった、おそらく運動がそう得意ではないジットくんは、中学校の持久走大会で、最後尾近くを走り続けていた。最後尾に近いからこそ後ろが気になるのか(私も持久走等では最後尾近くを走ることが多かったが、私の場合は後ろを見る余裕がなかった)、はたまたそんな位置を走っているのに後ろを気にしても仕方がないだろうという感想が適当なのか−ジットくんは、ほぼ全行程で、後ろを振り返って見ながら完走した。

翌朝登校してきたジットくんの首にはコルセットが巻かれていたそうだ。


体調不良のためマスク着用、目の疲れをとるのに役立つというピンホール眼鏡着用の私(本文とは無関係)