パリー

zushonos2010-06-01

頭髪やら髭やらが鬱陶しくなって、週末も遠出の見込みがないので、働いた後に近所で散髪しようと思い立った。
東京やら神奈川やらの都市部であるからして、一見の客だからと驚かれる可能性は限りなく低い。そんなら選り好みして行ってみるのがえかろうじゃない。
先日くもじい番組で見た、上野の同潤会アパートの1階にあるパリーはどうだ。検索して場所を確認する。営業時間等ははっきりしないが、街中なので、19時までは大丈夫じゃろうと踏んで、18時に勤務先を脱出。18時30分くらいに店の前に到着。
DSC00695
理容師のおばちゃんは待合席で煙草を喫いながら新聞を読んでいた。ドアに書かれた営業時間は19時までとある。大丈夫かいのう、と思い、「お願いできますか」と聞いてみる。大丈夫という返事をもらったので、外観写真を撮ってから入店。
実際に散髪してくれたのは、息子さんであった。くもじい番組を見直すと、おばちゃんは74歳だというから、40代だろうか。どちらもお若く見えましたけれどもね。
いつものように「2cm残して全体短く、髭も全部剃ってください」と注文する。「お客さん髭伸ばしているっぽいから、髭は剃らないでって言われるんじゃないかと思ったわよ」などという会話からスタート。幸先よし。
これなら早めに切り出した方が良さそうだ。いろいろなところで散髪するのが趣味だと伝え、ここはくもじい番組で見て知ったと宣言。おばちゃんが撮影のときの話をしてくれる。別番組で地井武男が来た話も。いやあよくお話しになるおばちゃんだ。
同潤会アパートの建物というのに惹かれましたと言うと、その良し悪しについていろいろ話てくれた。立地が良いこともあり、古い建物に憧れる人たちに人気で、空室はないかという相談を受けることもあるが、やはり建物の老朽化は深刻だそうだ。いわく、4階建ての4階はもう何十年も空き家なのだが、4階を通り越して3階まで雨漏りするとのこと。
俺様の場合、出かけた先で、身近にないもの見て憧れることも多いが、何事にも良し悪しがあるんじゃと想像して、諦めることにしている。
パリーがある一室は、建物ができた1929年以来、ずっと散髪屋の店舗で、パリーは3代目なのだそうだ。散髪屋の内装は、天井などは張替えたが、床のタイルは建築された昭和3年のときのままだという。その床に落ちる、散髪された俺様の2ヶ月分の毛髪。
DSC00700
現在、住人は建て替えを希望しているが、いろいろ調整などあり、すぐには実現しそうもないと聞いた。建て替わったらまた散髪しに来ると宣言し、退出した。