スゴいヤツ

zushonos2007-08-24


処暑で少々落ち着いた暑さであるが、その前日、水面下業務の延長で、諸処の事情から急遽福島往復の必要性が生じた午後4時時点では、東京の暑さは実に灼熱と呼ぶにふさわしいものであった。
翌朝は自宅にいる必要があり、福島での作業は、開始時刻が20時以降と決まってはいるが、作業自体が何時間かかるかわからんという状況。水面下周辺は渋滞必至で、最も効率的かつ楽しめる交通手段は二輪と判断し、自前のXT660で行くことにした。
水面下最寄りの入り口から首都高速に乗る。春に取り付けて半年経ったETCはもはや当たり前になっているが、大変便利だ。高い位置を走る道路にあっては日差しを遮るものは皆無となる。夕刻ではあるがともかく空気が熱い。今年初めて買ってみたバイク用のメッシュジャケットは、くそ暑い時期も、朝晩であれば、走行中に受ける風は涼しさを感じさせ、世間の高評価も納得という性能を発揮した。しかし、この夕刻の風はまさしく熱風であって、いくら走っても涼しくならない。メッシュジャケットの限界を感じた。
東北道に入って北の視界が開けると、はるか前方には鼠色の厚い雲が立ちこめ、多数の稲妻が天から地へまっすぐ走っている。そういえば朝の天気予報で北関東は雨注意とあった。過去の経験から、この時期の北関東の夕立は、雷を伴って猛烈な勢いで短時間に降って、一度上がってあとは晴れるものとわかっていた(北関東でなくても「夕立」はそんなもんじゃな)ので、雨が降り始めたらパーキングに入ってやり過ごすことにして、雲に向かってそのまま進んだ。雨が降り出す前からこの暑さでかっぱを着ると死んでしまうという恐れもあった。個人的にはこの時間帯に下り路線を走ることは珍しい。おそらく普段の行程では併走することがない空荷のうしトラックと併走。そういえば東北道を上るうしトラックに満載されたうしはどこで下ろされるのだろうか。
羽生PAの手前で降り出した。気温が一気に下がるが、涼しさを満喫する暇もなく、PAに退避。10年前にバイクに乗り始めたころは、そもそも二輪専用の駐車スペースがあるパーキングがほとんどなかったと記憶しているが、いまでは大抵のパーキングに屋根つき二輪専用駐車スペースがあるので助かる。
売店に行って飲み物と食い物を調達しようとして思い出した。財布に入っている現金は1000円未満なのであった。パーキングのレストランはクレジットカードで精算ができるような気がするが、そこそこ急いでいるし、晩飯は高速降りた後にコンビニエンスストアのATMで金を下ろしてからと決め、茶だけ買って休憩。
再出発する前に携帯電話を確認すると、業務関連の伝言が録音されていた。伝言主と連絡を取り、福島に行く前に中禅寺湖を経由して機材を拾うことになった。もちろんいろは坂経由。もはやツーリングである。
雨はいったん上がったが、どうやら夕立ではなかったようで、そのまま降り続きそうな雲行きだ。仮にもう降らなかったとしても、路面が濡れていると、自車や他車が巻き上げた水しぶきで濡れてしまうので、かっぱを着込む。雨で気温が下がって、電光掲示板(この単語はなんでも片仮名にしまくる中でがんばっていますね)の気温表示は21度。こうなるとメッシュジャケットは風通しが良すぎるので、かっぱを着てちょうど良いくらいだ。
宇都宮ICから日光宇都宮道路に進む。この時点で、ガソリン残量5L以下を示す給油警告灯が点いた。XTの燃費は20km/L強、宇都宮ICと中禅寺湖の往復は推定100kmである。無給油での往復はぎりぎりであるがいささか軽率だ。日光宇都宮道路を出た後の日光市街で給油することに決めた。
清滝ICを降りた直後、反対車線側にGSがあった。いろは坂往復ならガソリンは確実にもつので、帰りがけに給油することにしていろは坂に突入。平日の19時前で、交通量は少ない。既に日は暮れており、明りは自車のヘッドライトのみ。少し前まで雨が降っていたようで、路面は半分濡れている。近年稀に見る保守的な運転でちんたら上る。上りは一方通行だと理解しているのだが、センターラインが迫ってくると無用な重圧を感じる。
中禅寺湖畔で機材を拾う。この時点で給油警告灯点灯後の走行距離はちょうど50kmで、読み通りだ。いろは坂を下る途中で壁に刺さった四輪の事故処理をするポリスに遭遇。事故車一台に対しポリスは2台。困ったものだ。保守的な運転で下りきって、清滝ICに入る前に給油するつもりだったが、道を間違えたのか、営業終了していたのか、GSを見つけられないままICに入ってしまった。ガス欠チキンレース開始。
冷や冷やしながら宇都宮ICについて、一般道に下りる。助かった。一見した限りではGSが見当たらず。ローソンの看板があったので、ガソリンより前に金を下ろそうとそちらに進む。後に地図で見てようやく位置関係が把握できたのだが、大晃ドライブインの敷地を通り抜け、国道119号の旧道側に面したローソンの看板であった。この店舗にはATMがなかった。腹減ったのでパンと飲み物をクレジットカードで購入。
この後ガソリンスタンドを探すが、20時を過ぎて営業終了した店舗ばかり目に付く。迷っているうちに宇都宮北道路に北から入ってしまうが、宇都宮環状道路沿いならなんとかなるだろうと腹をくくる。これまた後に地図を見ると、環状道路を左折すればすぐにGSがあったようだが、右折したため2kmほどGSが見当たらず、肝を冷やす。ようやく見つけたGSで給油したガソリンは14.3L(ガソリンタンク容量は15L)。ほとんど使い切ってやったぜ。
宇都宮ICに戻り、福島西ICまで休憩無しで走る。適切な速さの四輪についていくと平均速度が上がって良い。時折強烈な雨が降り、ヘッドライトに照らされた雨が奥から手前に放射状に広がる集中線のような視覚効果だ。突如ZOOMの「オーバーテイク」というカーレースのゲームで、当時としては画期的な「レース中に雨が降る。しかも自車の速度によって雨の軌跡の角度が変わる」という表現を褒め称えるログインの記事を思い出した。ちなみにこの記事と「オーバーテイク」というタイトルとこのソフトを作った会社は「ジェノサイド」を作った会社だということはすぐに思い出したのだが、社名が思い出せず、帰宅後wikipediaに頼った。
福島駅西口の目的地に到着し、1時間半で作業を終え、東北道を引き返す。雨は相変わらず強烈に降ったり止んだり。午前3時頃、猛烈な睡魔に襲われ、久しぶりにまとまった距離の瞬間移動を体験。命の危険を感じて佐野PAで休憩。PA全体を見渡しても車の量は少なく、二輪駐車スペースには自分しかいない。雨は降り続けていたが、休憩所まで歩いていくのも億劫だ。ヘルメットこそ脱いだが、かっぱを着たまま、駐車スペースの屋根の下、縁石に腰掛けて、膝を抱えてしばらく眠った。近年の遠出は四輪が多く、パーキングでの仮眠といえば車中が定番であったが、久しぶりに屋外で寝た。
目を覚ましたあとは休憩なしで自宅まで戻った。自宅周辺は、全く雨が降らなかったのか、路面が濡れた様子も見られず、暑かった。結局金は下ろせず、晩飯を食わずじまいだったが、水を浴びてすぐに寝た。
ところで往復の行程で最も目に付いたのは「アイネ」各店舗をはじめ、一定分野の宿泊施設の看板である。かつて、高校のときの同級生・電車さんは「新幹線の車窓から最も多く目に付く看板は727化粧品」と主張していたが、高速道路で目に付くのはやはりアイネであろう。自らの運転で移動するのが好きな私は、この手の宿泊施設の命名感覚に感心することしきりである。近年各地で見かけるのは前述のアイネのほか「GOLF」と「555」が多いが、個人的に名作と感じたのは「(『トムとジェリー』のジェリーっぽいネズミの絵が添えられたにもかかわらず)ミッキーハウス」と「(鷲の絵が添えられた)ホテルカリフォルニア」である。

以下が本題で、強烈な暑さと、久しぶりのバイクで大変なツーリングと、最近目にしたフレイズにインスパイアドなテクスト。
同じ保育園、小・中・高校に通った20年来の友人(男前、魚の扱いに長ける、労働基準法違反)は、大阪の大学に入学した後、堺市にあった「ヤングタウン」(通称:ヤンタン)という、たぶん勤労青年向け集合住宅に住んでいた。私はここを2度訪れたことがあるが、友人いわく「一年を通じて一定の室温(摂氏40度。冷房なし、暖房は過剰)」というその部屋、「独居房への通路」というその廊下と、部屋を隔てる鉄の扉、「近づくと危険」というダストシュート、「ガス室」というコインシャワーは強烈であった。
ヤンタンは1972年に建てられたようだ。大阪府という立地条件もあって、その命名の背景には、現在の私には想像もできないような経緯があったに違いない。それにしても2001年に閉鎖されるまでそのヤングっぷり、タウンっぷりを維持できていたかどうか疑問である。
前述のように、一定分野の宿泊施設の命名については、疑問を感じるというよりも、うまいと感じるかどうかであって、これはパチンコ屋についても同様だと思う。推測するに、これらの店舗は、そこにあるかどうかが最大の問題であって、利用するかどうかの選定基準に占める名前の重要性が低いのだろう。
一方、毎日利用する事例が多く、また、他の店舗との間に一定の競争がありそうなスーパーマーケットにあっては、命名はそれなりに重要だと思われる。家族間でも、近所付き合いの中でもその名前を口にする機会は多いだろう。スーパーマーケットの名前で疑問をおぼえた例を2題。
一つは東広島市に拠点を置くチェーン店「ショージ」。大学生のとき、故郷に帰る途中に東広島在住の友人宅に泊めてもらったのだが、そのときに連れて行ってもらったことがある。東広島市の旧地名は「西条」で、「ショージ」を運営する会社は 西条商事(株) である。西条は地名、商事は普通名詞である。通常、店舗の名称にふさわしいのは、固有名詞たる地名の「西条」の方ではなかろうか。もしかしたら創業者の名字か名前が「ショージ」であったのかもしれんが、なんにせよ「サイジョー」の方が一番良いものを売っていそうで良いと思う。水面下業務においては、正式名称をいかに略すかというのが重要になってくるが、西条商事を略すとしたら間違いなく「西条」である。
もう一つは、前出の電車さんに連れて行ってもらった、静岡市に拠点を置くチェーン店「話題のスーパーもちづき」。公式サイトを見ると、テキストでは「スーパーもちづき」となっているが、ロゴの画像を見る限りでは「話題の」と「スーパー」は切り離せない配置になっている。買い物かごにも「話題のスーパーもちづき」と入っていたと思う。(株)望月巌商店 が運営。おそらく話題にするとき「話題の」から全て言う人は、私のような興味本位の余所者を中心とした少数派で、地元の人は「もちづき」と呼んでいると思われる。ちなみに電車さんは「もっちー」と呼んでいた。
ちなみに自宅最寄のスーパーは「スーパーナガイ」。superなguy。スゴいヤツ。