転機

私が高校生になったころ、祖父の体力的な衰えが問題になりはじめた。そこで、祖父の負担を減らすという名目で、それまで小便器があったところに、洋式便器を設置することになった。暖房・ウォシュレット付き便座装備であった。慣れ親しんだ和式を好むむきもあり(我が家の洋式便器設置後に、姉とやさしい姉の間で「あなたは保守派かそれとも革新派か」という問答がなされていた記憶がある)、和式便器はそのまま残された。入り口が従来のままだと、洋式便器を避けるのが大変だからかどうかわからんが、6畳間から直接和式部屋・洋式部屋に入室できるよう入り口が新設された。つまり、一時は以下のようになったわけである。

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 │和:洋=  洗│
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 │   6畳間  │

この状況をして、私どもは「ウィザードリィだ」と喜んだが、それも束の間のことであった。ほどなくして、アコーディオンカーテンは板張りされ、また、洗面所側のドアも板で目隠しされてしまい、結果以下のようになった(それでもまだウィザードリィっぽくはある)。

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 │和│洋│  洗│
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 │   6畳間  │

2名がそれほど気遣いなく、同時に用足しできる。ただし、照明は共有していたので、時折「照明が必要な時間帯に同時使用→先行退出者が消灯→継続利用者怒る」という一幕が見られた。この状況になってしばらくして、姉と私が就職・進学のため別の土地で一人暮らしを始めた。さらにこの後、祖父は顕著な回復をみることなく、私が大学生のとき他界した。

指数:0.333→0.5→0.666